ざね旅

世界一周の様子をつづります。

フィリピン・マニラのスラムで【無料】ボランティアに参加してみた!

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フィアーざねです。筆者は一週間のマニラ滞在の間に、3か所の俗にスラム街と呼ばれている場所を訪問しました。そのうち2か所では現地のボランティアグループに無料で参加させて頂けたので、その体験をシェアします。フィリピンでボランティアに参加したいけど、お金をあまり持っていない学生さんなどにはぜひ読んで頂きたい記事となっております。
 
今回の記事では、多くの人が語るスラムの悲惨な側面だけではなく、ボランティアを通して筆者が感じた、街の温かい雰囲気や筆者が知って意外だったことなどを主にお伝えさせて頂きます。
  

ボランティア応募

筆者は多くの人がするように、フィリピンでのボランティアを探すためにまずはグーグル先生に教えを請いました。
 

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しかし日本語でフィリピンでのボランティアについて検索するとスタディーツアーのようなものばかり出てきて、とても高額な費用がかかるようでした。
 
そこで、気を取り直して英語で検索していたところ、フィリピン国内のボランティア掲示板のようなサイトを発見しました。
 
筆者はこのサイトで募集をかけていたProject PEARLSPasay Pups という二団体に参加の可否をメールで問い合わせました。
 
こちらが提示した条件は
・英会話は中級
・自分は日本からの旅行者
・タガログ語は話せない
 
これで参加の可否を確認したところ、問題なく参加できると返信を頂くことが出来ました。
 
今回のボランティアにあたって、両ボランティアとも参加に必要な条件が似ていたため、以下にまとめさせていただきました。
 
服装:露出度が少なめな、ズボンとTシャツが好まれる。地面が泥っぽいため、サンダルではなく靴が必要。邪魔になる大きい荷物は持ってこないなど
参加費用:無料
注意事項:子供に物をあげない、私的に連絡先を交換しない、大声で叱らない、子供を傷つけない、彼らの親について尋ねない、喫煙しない、活動中に写真を撮らないなど多数。
 

必要とされる英語能力

ボランティアで実際に行った作業自体は食事の配膳や子供とのアクティビティ、簡単な勉強を教えるなど決して難しくなかったです。しかし、英語で掲載してある注意事項を調べながらでもきちんと理解する読解能力と、スタッフの指示をきちんと聴いてコミュニケーションを取れる程度の会話能力は必要なように感じました。写真撮影に関する禁止事項や子供への接し方についてなどの注意事項を理解しなければ、団体の活動にとって邪魔になるだけの可能性があります。
フィリピンでは、例えスラムの子供であっても多少の英会話ができる子が多いため、英語が喋れれば何とかコミュニケーションが取れます。しかし、マニラでのボランティアでは勿論タガログ語が出来たほうが良いです(セブではビザヤ語ができた方が良いでしょう)。
 

1:トンド地区ボランティア(Project Pearls)

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トンド地区スラムの様子
トンド地区はマニラ中心街付近に位置しており、かつてダンプサイトと呼ばれるゴミ集積所だった場所です。かの有名なスモーキーマウンテンがあった場所がここになります。
 

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過去のトンド地区の様子
現在トンド地区のスモーキーマウンテンは閉鎖され、ゴミ集積所には中心街から離れたパヤタス地区が指定されています。筆者はここも訪問しました。詳しくは後ほど。
 
現在のトンド地区はスモーキーマウンテンが閉鎖されたにも関わらず、未だに大量のゴミが集積されていました。量こそ減っているはずですが、大量のゴミ投棄は続いているようでした。
 

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その辺に積み上げてある大量のゴミ
Project Pearlsとは
地元の人たちが組織しているボランティア団体で、子供達を貧困から脱出させて、彼らの夢を叶える手助けをすることを活動目標としています。主に教育、栄養・健康状態のケア、地域の経済やコミュニティの開発に着眼して活動しているようです。具体的には、学校外での子供達の勉強の手助け、毎朝の健康的な食事の提供、無料医療センターの設置など、幅広い活動を行っています。
ちなみにこの記事では、Project Pearlsさんの写真を多く使わせて頂いております。
 以下が公式ホームページになります。
 
 
活動の流れ
今回筆者は、健康的な朝食を無料で配布するプログラムに参加しました。プログラムの時間が来ると、爆音で音楽を鳴らしながら皆でダンスを踊りました。その後、今回のボランティア参加者の自己紹介、それから朝食の配膳を行いました。
 

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食事の配膳をするボランティア達。

朝食タイムの後はクリスマスプレゼントのTシャツを配布しました。

 

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子供と戯れており、あまり役に立っていない筆者

その後は、それに着替えた選りすぐりの子供ダンサー達がパフォーマンスを披露してくれました。

 

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この地区の子供たちは皆本当にダンスが大好きでした。
その後、子供達と一緒にクリスマスツリーの付いた被り物を制作して、ボランティアは終了しました。
  

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この地区では、ゴミからはかなりの異臭が漂ってくるのですが、ここに来る子供達の多くは普通に清潔にしており良い匂いがしました。
 

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子供たちの集合写真。朝食時にはこの10倍くらいの子供達が居ました。

この地区の健康問題はかなり深刻なようで、ここではパクパクと呼ばれる激安ローカルフードがよく食べられているのですが、これがかなり衛生的に良くないようです。

パクパクは、ジョリビーという有名ファストフード店から出る残飯を調理しなおした料理です。下の動画はパクパクの調理過程から店先で食べられるまでの動画です。

 


Would you eat recycled landfill meat? - BBC News

 
過去にはこのパクパクに毒性の物が含まれていて、それを食べた子供が死亡した例もあるそうです。
 

2:パッサイ地区ボランティア(Pasay Pups)

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パッサイ地区スラムの様子
ここはPasay Municipal Cemeteryという教会の墓地がスラム化している場所です。マニラ市街地で最も中心的なEDSA駅から数百メートル圏内という、尋常でなく好立地な場所に位置しています。日本でいう新宿駅から数百メートル圏内という感じでしょうか。
 
 
ここは墓地なので、勿論普通にお墓参りに来ている人々がいます。クリスマス直前のシーズンだったためか、お墓参りに来ていた人の数は想像していたよりかなり沢山いました。それにも拘わらず、墓場が完全に街のようになっているのは、筆者には興味深く思われました。筆者は写真を撮る余裕が全く無かったため、この場所の様子は以下のビデオをご覧ください。同一の場所か定かではありませんが、大体こういった感じの雰囲気でした。
 
 
そういうわけで、筆者が全力で子供たちとはしゃぎまわっている様子も、お墓参りの受付を待っている多くのビジター達がそばで見守っていました。何とも平和な感じがしました。
 
 Pasay Pupsとは

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マニラ在住の人々によって組織されている小さなボランティア団体です。活動内容としては、 Pasay地区のコミュニティ福祉向上への貢献がメインのようです。具体的には、栄養価のある食べ物や子供達へのおもちゃの提供、子供達が遊ぶための機会の提供、週末には子供たちの勉強補助活動を行っているようです。またこの地区にはかなり多くの犬がいるのですが、その犬たちの病気のケア、寄生虫・ノミ・皮膚病などの予防活動を行っているようです。
以下が公式ホームページになります。
 
 
活動の流れ
今回筆者が週末に参加したプログラムでは、主に小学生低学年の子供たちに向けて勉強の機会を提供する、学童教育のようなことを行っておりました。
 
このプログラムでは、知育のためのゲーム、掛け算、アルファベットの練習、英語での作文、塗り絵など午前中いっぱいかけて行われるアクティビティを行いつつ、ボランティア達はその間子供達の面倒を見ていました。
 
子供たちを何とかして勉強に向かわせて欲しいということだったのですが、これが中々に難しかったです。おんぶや肩車は危険なためか禁止されていたのですが、常に誰かが筆者の背中によじ登ろうとしてしがみ付いてきました。また、子供達は筆者の二の腕の筋肉に向かって全力でパンチしてきました。とにかく彼らは元気が有り余ってました。
 
今回ボランティア活動中の写真撮影が禁止されていたため、筆者は殆ど写真を持っていません。と言いますか、写真撮影どころではないくらい全力で子供達とバトルしていました。

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後日空港に行く途中に寄ったスラムの入り口にて。
ここの子供達も風呂嫌いな感じの子供以外はかなり清潔にしており、子供たちとはしゃぎ過ぎていた筆者が一番汗臭かったと思います。筆者はビシャビシャに汗をかきすぎて、帰り際にTシャツを変えろと年頃の女の子から言われてしまいました。小さい女の子も、筆者の汗ビショビショTシャツにはちょっと引いていました。許して。
 
子供たちは皆本当に人懐っこく、後日ちょっとだけスラムを訪問した際も、入り口で筆者を見つけた子供たちは全力で駆け寄って来てくれました。彼らにまた会いたいです。
  

3:パヤタス地区

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現在マニラのメインゴミ集積場となっているのがこの地区です。ダンプサイト、スモーキーマウンテンなどと呼ばれています。この場所は市街地のド中心部に形成されている他のスラムに比べると、市街地から車で約1時間ほどの距離と多少離れています
 

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赤丸で囲まれている地区が大体の位置。

しかし、マニラ中心部からパヤタス市街地近くのLitex Marketという市場まで多くの高速バス(UV)の便が出ており、この市場からもパヤタスに向けて大量のジプニーが走っていたため、結構アクセスは良かったです。
 

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Litex Market周辺の様子。普通に多くのお客さんで賑わっている市場でした。
現在ここのゴミ集積場は壁で囲まれており、許可証無しでは入れない状態となっています。しかしここのゴミ捨て場付近には街が形成されており、地方から出てきた人などが多く在住しているようです。
  

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ゴミ捨て場を取り囲む壁と、ゴミ積載車。積載量がすごい。
スモーキーマウンテンとは
この国では、焼却施設の能力的にゴミを燃やすと大量のダイオキシンが出てしまうことから、過去に焼却施設の使用を禁止する法律が制定されした。それから現在に至るまで、全てのゴミは埋め立てられているのですが、過去には埋め立てられるというよりはトンド地区のような市街地の集積所にただゴミを積み上げていただけだったよう(現在もあまり変わらず)です。日差しの強いマニラでは、そこで形成されたゴミ山が自然発火して煙を吹き、スモーキーマウンテンと呼ばれるようになったようです。現在の集積所では、ゴミの上に土を覆いかぶせて埋め立てている部分も多くあるそうです。ゴミを土で隠しているだけで、あまり状況は変わっていない気もしますが。
 
街を散歩してみた
筆者がパヤタス地区内をウロウロしていると、この地区で外国人を見ることが滅多にないためか、地区内の何処を歩いていても人々の視線を感じました。またゴミの運搬作業をしていた人に、何をしているのかと尋ねられましたが、ただ地区内の様子を見に来ただけだと言うと何となく納得して笑顔で接してくれました。
 
街中には様々な店がありましたが、筆者はここでまさかのインターネットカフェを発見してしまいました。写真では分かりづらいですが、店内には大量のPCが並んでおり、多くの子供たちがゲームをして遊んでいるようでした。
 

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店内の子供にめっちゃ見られた筆者。

筆者が街を歩いていると、ゴミを一旦集積する場所の近くで行われている、ちょっとしたパーティーをしている人達にこっちで一緒に飲まないかとハイテンションで声を掛けられました。結局ウイスキーやスパゲッティ、フライドチキンなどをご馳走になってしまいました。

 

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写真の奥側では、大量のゴミがトラックから降ろされていました。

ここにも定番の自前カラオケがあり、人々は熱唱していました。数メートル先に大量のゴミが積まれていなければ、フィリピンによくある光景と何ら変わらないと言って良いでしょう。
 

筆者が思ったこと

3か所スラムを訪れて思ったこととしては、衛生状態さえ除けば彼らの生活の様子を少し見るだけでは悲痛な感じは全くしないということでした。むしろ今まで行ったどんな場所よりも平和で、人々がダラダラとしている印象を受けました。
 
ただ衛生状態がとにかく劣悪なため、感染症へ罹患するリスクが高かったり、環境が健康へかなりの悪影響を与えていることは間違いありません。筆者的にはこの点が一番重篤な問題に感じられ、その状況と戦っているボランティアの人々は素晴らしいと思いました。
 
しかしそれでもここに人々が住みたがるのは、それなりに生活が出来るからです。ゴミが集積すれば家賃が下がり(或いは無賃で不法占拠)、更にはゴミを収集・売却するスカベンジング(ごみ拾いとその売却)というリサイクル産業が生まれます。そして周辺に人々が集積し始めると商店や飲食店をはじめ、様々な業態の店も集積し始めます。
 

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カフェ・商店・携帯ショップ等なんでも揃いそうなパヤタス市街地
こういったサイクルで街が形成していく感じを、筆者は目の当たりにした気がしました。そしてその場所には、勿論様々な人たちが住んでいます。決して全員が貧しい訳ではありません。スカベンジングの関連産業でうまく儲ければ、フィリピンの平均給与以上にお金を稼ぐことが出来るケースもあるようですし、家賃の安さなどが目的で住んでいる人もいるはずです。
 
皮肉にも、劣悪な衛生状況を招いているゴミこそが、人を寄せ集める源となっているのです。
 
実際に、筆者が出会ったパヤタスの一時ゴミ集積所のすぐそばでパーティーをしていた20代の女性は綺麗なアイフォンを所持しており、彼女は流暢に英語も喋れました。また、ゴミで溢れるトンドスラムで出会った5歳くらいの子供も、普通に自身のスマホでゲームをしていました。
 
今回訪問したようなある程度知名度の高いスラムでは、多くの支援が集まるせいもあってか、物質的に欠乏しているという感じは全くしませんでした。また彼らは無料で医療施設を利用できたり、本人に意思さえあれば学校教育に加えてNPOによる無料の教育補助も利用することが出来ます。フィリピンの大学進学率は3割程度ですが、スラム出身者であっても数は少なくとも大学進学する人はいるようです。
 
栄養状態が悪かったり教育水準が低かったりする子供というのは、インフラ的な問題というよりは、彼らの家庭における教育の仕方に大きな問題があるように思われました。この国の人たちと接していて思ったのは、多くの人々が栄養ということをあまり気にしておらず、一般的な人でさえ、野菜を殆ど食べないという人が相当数いるように思われました。またフィリピンでは公立の小学校・高校には授業料無料で通えるため、ここに通わない子供が未だに多くいるというのは、親が子供を学校に通わせる意思が無いという点に大きな問題があるように思われました。家庭にお金が無く、子供に就学させるよりも働かせたいという親や、完全に育児放棄しているような場合もあるようです。
   

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スラムには問題が山積みだとは思いますが、何はともあれ筆者はこれらのスラムと呼ばれている地域のアットホームな雰囲気が大好きでした。ここにもまた、想像以上にとてもフレンドリーで人懐っこい人達で溢れていたのでした。
 

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